ワンダースクール通信 1160
今年はヘビの当たり年〜夜の森探検隊@〜 2010.8.2

 

 夏休み恒例の「夜の森探検隊」は、梅雨明けと同時にスタート! 7月17日(土)・18日(日)・21日(水)・23日(金)・25日(日)・26日(月)・28日(水)・31日(土)の全8回開催です。25日と26日は雨に降られましたが、雷雨にはならず幸いでした。
 参加者は、キッズ会員41名+ファミリー会員7家族24名+その他4名の69名。1日4〜12名ずつのちょうどいい人数で、今年も夜の森のワンダーワールドをたっぷり楽しんでもらえたと思います。
 以前、毎年50名ぐらいの団体を案内していたこともありましたが、夜の森の生きものたちにとっては迷惑な話です… まあ、これは夜に限ったことではなく、フィールドへのインパクトや参加者とのコミュニケーションを考えると、やはり多くても1回20名ぐらいまででしょうね。
 それにしても、今年は連日の猛暑とヤブカの猛攻で、たか爺はもうバテバテでボコボコです… アシスタントのゆうか・あやか、キッズアシスタントのあきら・きょうすけ・ほうせい・タッチたちに助けられて、どうにか乗り切ることができました。ほんとうに感謝です!
 「ワンダースクール通信」はいくつかに分けますが、今年はまずヘビ編から。なぜかヘビの当たり年でしたねぇ〜。

 
ニホンマムシ 2010.7.17                      同 タッチが見つけてくれた幼蛇 2010.7.21

 昨年はマムシ柄のアオダイショウの幼蛇にだまされっぱなしでしたが、今年は正真正銘のマムシに4回も出あいました。17日にはトウキョウダルマガエルの溝に1匹、近くにももう1匹。
 21日にはニイニイゼミの羽化ポイントの木の下草で、タッチが見つけてくれました。羽化したばかりのニイニイゼミもいっしょに写っていますが、幼蛇でもセミは食べないと思うので、虫を食べに木にのぼるアマガエル狙いかな? なかなか堂々としていてサービスが良く、マクロモードでゆっくり写真を撮らせてくれたので、別アングルで撮った写真をNHKの『いきものSOS図鑑』にも投稿しておきました。「日本レッドデータ検索システム」で調べてみたら、10都道府県でRDB指定という状況で、東京では絶滅危惧U類(絶滅の危険が増大している種)、埼玉では地帯別危惧(地帯別に見たときに存続基盤が脆弱な種)となっています。
 25日もトウキョウダルマガエルの溝近く。すぐ草やぶに入ってしまいましたが、模様だけは確認できました。毒ヘビのマムシやヤマカガシだって臆病でシャイなやつが多いので、踏んづけたり近づきすぎたりしない限りは向こうから襲ってくることはまずありません。無差別にそんな野蛮なことをするのは、バーチャルと現実の区別がつかなくなっている最近の人間ぐらいのものです…

 
アオダイショウの幼蛇 2010.7.25                 同 2010.7.28

 木登りしているアオダイショウの幼蛇も多く、21日にはきょうすけ、25日にはきょうすけパパ、28日にはあきらが見つけてくれました。とぐろを巻いているとマムシに似た模様が目だつけれども、下から見上げたらバレバレなんだよなぁ…
 今年はマムシもアオダイショウの幼蛇もよく見ることができたので、たか爺もようやく夜の森でも違いがすぐに分かるようになりました。伸びて逃げだせば一目瞭然です。それにしても、今まで何度だまされたことか…
 でも、このアオダイショウでさえ9都道府県でRDB指定… 東京では絶滅危惧U類(絶滅の危険が増大している種)、埼玉では準絶滅危惧種(存続基盤が脆弱な種)です。

 
ミミズサイズのヒバカリ 2010.7.21 ちょっと見にくいけれども… 成体(?)のヒバカリ 2010.7.28

 21日には、こうへいがミミズサイズのヒバカリを見つけました。「手乗りヘビ」でも遊ばせてもらいましたが、かわいいものです。ヘビ好きな子も多い水曜には一晩で3種類の幼蛇が見つかったわけで、これはラッキーでしたね。28日には、タッチが成体(?)のヒバカリを見つけてくれました。
 ヒバカリはすでに21都道府県でRDB指定… 東京では絶滅危惧T類(絶滅の危機に瀕している種)、埼玉では絶滅危惧U類(絶滅の危険が増大している種)となっています。
 たか爺は19日の夜にも嵐山町でアオダイショウ、27日の夕方には巾着田でヤマカガシの幼蛇(左下の画像)にもあっているので、ワンダースクール開催の10日の内、なんと6日で11匹のヘビちゃんたちに出あったわけですねぇ〜。今年はまだまだこれから何かいいことあるのかな!?

 でも、ヤマカガシも10都道府県でRDB指定で、アオダイショウと同じく東京では絶滅危惧U類(絶滅の危険が増大している種)、埼玉では準絶滅危惧種(存続基盤が脆弱な種)。この2種は、東京生まれのたか爺が子どもの頃からよく見ているヘビたちなので、なんともさみしい話です…
「おもしろいねぇ〜。どうしてこんなふうに動けるんだ?」
 これは誰だったかなぁ… ヘビの木登りの仕方や這い方をおもしろがって見ている子どもたちが多かったけれども、ヘビだから毒ヘビだからと嫌わずに、もしばったり出あったらラッキーだと思ってとりあえずはよく見てあげて欲しいですよね。子どもたちにとってヘビはもう、滅多に出あうことができない貴重な生きものになってしまっているようです。

 そういえば今、9月の全国トンボ市民サミットでの事例報告用に読み直している本が何冊かあります。(財)日本自然保護協会編集・監修『小さな自然観察 こどもと楽しむ身近な自然』(平凡社)には、ちょうど以下のような文章が載っていました。
 「こどもの前での大人の言動、立居振舞がこどもに及ぼす影響力の大きいことを大人は自覚すべきである。たとえば、ヘビをことさらに不気味がる。ハチを過剰に恐れる大人の動作は見事にこどもが模倣する。とくに幼児にとっての母親の姿勢は、ほとんどこどもにインプリントされるものである。もしも『ヘビちゃん、きれいなおめめね、前から見ると可愛いでしょ!』とか『ハチはじっとしていれば決して刺したりしないのよ』といった冷静で感性の高い反応をしたら、ヘビを忌避する子にはならないし、ハチを怖がらずに、しかもその危険性に対しては、冷静に対応できるこどもに育つことだろう。こどもの自然接触に当っての望ましい大人像は、ここに集約されるといっていい。」(柴田敏隆)
 これはもちろん、ヘビやハチに限った話ではありません。小学生からでもどうにかならないものか、幼児のうちから親子でいっしょに楽しんでもらったらどうか、この10年悪あがきし続けているだけなのかもしれないたか爺としては、これ以上何も言うことはありませんよねぇ…