ワンダースクール通信 952
「夜の森探検隊」Part3 2008.8.3

 
ノコギリクワガタの♂はちょっと中途半端なサイズ!? タッチが見つけたナナフシモドキは緑色型でした。 2008.7.23

 7月22日(火)からの3日間は、1組の親子に会うか会わないかで、静かな夜の森にもどりました。
「女の子みたい…」
 と、ゆかりに言われていたのは、まさとです。ずぅ〜っとおしゃべりしていないと、怖かったのかな!?
「セミの祭りだ」
 これは森へ向かう途中の土手で、しゅうや。詩人ですねぇ〜。まだ明るいうちは、ニイニイゼミがにぎやかに鳴いています。
「テントウムシがのびたみたいのがいる」
 これもしゅうやですが、言いえて妙かな? 樹液に来ていたヨツボシケシキスイでした。
 なんだかにぎやかだった火曜は、セオリーどおりクワガタは0… カブトムシの♂のみ5匹です。自分でつかみとれなかった子は、次回の「夏はやっぱりカブトムシ」で再チャレンジしてくださいね。

 23日(水)は、あきらとつくるがコクワガタの♂、ゆうだいがノコギリクワガタの♀を自分で見つけていました。他にはコクワガタの♂3匹とノコギリクワガタの♂1匹で、カブトムシは0… なんだか不思議です。
「ナナフシテントウ」!?
 タッチが見つけたナナフシモドキは緑色型でした。そういえば、今年はまだ褐色型しか見ていませんでしたね。

 
ホバリングしながら樹液を吸うベニスズメとクルマスズメ。とりあえずオナガミズアオにしておきます… 2008.7.23

 樹液にはスズメガの仲間もよく来ています。左上の画像はベニスズメとクルマスズメの2ショット。今年はカキバトモエも多かったですね。
 水曜の子どもたちは、樹液とは関係のない場所できれいなオナガミズアオを2匹見つけてくれました。ハンノキの枝先で羽化しているアブラゼミを探していたら、オナガミズアオの幼虫まで見つけてくれた子もいました。たか爺も幼虫は初めて見ましたね。
「中身が入ってる!」
 これはきょうすけ… ニイニイゼミとアブラゼミの幼虫や羽化シーンも、かなり見ることができました。

 
ニホンアマガエル                           ヤブキリ♂

 今年は樹液に来ているアマガエルも多かったですね。虫を食べに来て、逆に虫に食べられちゃうやつもいることでしょう。コロギスには会えませんでしたが、ヤブキリは何匹か見かけました。

 24日(木)は、カブクワ最低記録を更新!? 他に誰も来ていないのに、コクワガタの♂2と♀1のみです。カブトムシの発生時期が遅れているだけならいいのですが、連日煌々と輝いているレッズランドのナイター照明の影響もあるのかなぁ…
 「怪獣さがし」の最中には、飛行船が森の上をゆっくりと横切っていきました。まるでアニメの1シーンのようでしたね。

 
テニスコートのネットにいたカナヘビは、なんだか妙にくつろいだ感じ!? ニイニイゼミは羽化ラッシュです。 2008.7.24

「ここにテレビがあって、見てる」
 これは、ひろきだったかな。テニスコートのネットにいたカナヘビは、なんだか妙にくつろいだ感じ!?
 セミは羽化ラッシュです。ニイニイゼミの羽化ポイントでは、1本の木に幼虫から羽をたたんだ状態のやつまで10匹以上いました。しかもそんな木が何本もあって、びっくりです。
「こう、こう、こう、こうで、こう」
「ちがうよ。こう、こう、こうで、こっちが先で、こうなって、こうだよ」
 これは、幼虫から順番に羽化の段階を追いかけていた子どもたち。待たずに一度に見られるなんて、ラッキーでしたね。

 
アブラゼミも多く、駐車場の杭や木の枝先で羽化していました。 2008.7.24

 アブラゼミも多く、駐車場の杭や木の枝先で羽化していました。でも、杭で羽を伸ばしきっていたアブラゼミは、突然現れた小さなクモに落とされてしまいましたね。オオヒメグモのようです(これは、きどばんさんが教えてくれました。感謝!)。クモをはじめとする捕食者たちにとっては絶好の獲物でもあるわけで、この日は羽化途中のセミを捕食しているクモの姿も多かったですね。
 大きなオニグモは、クモの巣にかかったものではなく木の枝先で羽化していたアブラゼミを抱えこんでいました。普段は草の葉っぱの上で見ることが多いイオウイロハシリグモも、ニイニイゼミの羽化ポイントで何匹か見かけました。大きなグレーイロハシリグモ(!?)はアブラゼミの幼虫を丸抱えです。
 人間は神秘的なセミのメタモルフォーゼに、ただただ感動するばかりです。セミにとっては命がけですが、だからこそ伝わってくるものがあるのかもしれません。子どもたちには何度でも見せてあげたいシーンです。
 でも、そのときを狙って狩りをするクモだって命がけ。「食う-食われる」だ「食物連鎖」だと言葉で教えるよりも、とりあえずは自分の目にいろいろなシーンを焼き付けておいてもらうことが、一番だと思います。

  
左から、このあとオオヒメグモに落とされたアブラゼミ・イオウイロハシリグモに捕食されたニイニイゼミ・同アブラゼミの幼虫

 28日(月)は、千葉から来たというアカアシオオアオカミキリ採りのおじさんと、親子も3〜4組来ていたかな。この日はなぜか♂ばかりで、カブトムシ4匹にコクワガタ4匹。♀はコクワガタ1匹だけでした。
 ニイニイゼミの羽化もまだ続いていましたがピークは終ったようで、アブラゼミの方が圧倒的に多く、森のあちこちで羽化していましたね。

 

 夜の森の「音いくつ」は、火曜は2〜4種類、水曜は2〜10種類、木曜は3〜4種類、月曜は3〜8種類で、平均すると4.4種類。まあ、今の子どもたちはこんなものかなぁ…
 「車」や「電車」、たか爺のカメラの「シャッター」の音は聞こえても、「風で木が揺れている音」や「コウモリが飛んでいるような」音、鳴いている虫の音の違いを聴きとれる子は、極めて少数派になってしまいましたよねぇ…
 夜の森の「怪獣さがし」でも、何も思い浮かばない子どもたちが増えてきています。昨年と同じ子だったりすると、たか爺としてはかなりショックだったりもして…
 今年は、森の手前の木の枝をうまく切り取っていたあきらの「ガイコツ」と「恐竜」が子どもたちにも大うけでした。ゆかりの「ゾウ」やよしのりの「受話器」も新鮮でしたね。

 

 最後に、子どもたちの感想をいくつか。
「カミナリはビビった」(ひろき)
「冒険みたかった。たのしい」(よしのり)
「コクワがかわいかった」(なおと)
「夜でもたくさんの虫が見れてよかった」(のぞみ)
「はじめて見る虫がいろいろ見れてよかった」(ゆかり)
「でっかいカブトとかガとかスズメバチとかいろんな虫が見れた」(しゅうや)
「いつもよりゴキブリとか虫がいっぱいいて、いつもよりクワガタやカブトもいた」(そら)
 夜の森のワンダーワールドは、とても一言では言いあらわせません。毎年「怖かった」か「楽しかった」かが圧倒的になってしまいますが、子どもたちは言葉以上にいろいろなことを体中で感じてくれたと思います。まとめかた次第で立派な「自由研究」にもなるので、その際はご相談ください。