ワンダースクール通信 974
ヒツジとおさんぽ!〜里山体験プログラムN〜 2008.12.9

 NPO法人むさしの里山研究会の会報『里山通信』用の原稿を転載します。

里山体験レポート 25

ヒツジとおさんぽ! 里山体験プログラムN

自然体感塾ワンダースクール たか爺

 

11月3日(月)の「ヒツジとおさんぽ!」は、今年もにぎやかでしたねぇ〜。大人21名・中学生2名・小学生20名・幼児4名・3歳以下3名の50名が参加してくれました。今回は、アンケートの結果は別にまとめてもらうことにしますが、参加者の方たちの満足度も高かったようです。
 野菜さがしゲームは、今年はカードに書かれた野菜を収穫してくるのではなく、野菜をさがしてそこに置かれたカードを集めてくる方法に変わっていました。これはやはり、本物を収穫して集めないといまひとつ盛り上がらなかったかな。でも、農家の方にとっては大切な野菜ですからね。

 

メインの羊は、「おさんぽ」ではなく今年はレース形式!? 2チームずつ羊小屋から羊を連れだして、餌場の大麦畑まで追いたてていきます。これはおもしろかったですねぇ〜。羊を追いたてるというよりも、猛ダッシュの羊を追いかけているだけのような子どもたちもいました…
 子どもたちのアンケート結果でも、「羊レース」と「ひつじにのれたこと」が楽しかったと書いてくれた子が5人ずついます。山羊も1頭いて、「やぎのおさんぽ」が楽しかったと書いてくれた子も2人いましたね。

 

 でも、小さい子がちょっと乗せてもらう程度ならいいけれども、派手にロデオまでされちゃあねぇ…
 かなり長い距離を疾走していた子もいましたが、羊に振り落とされてドロだらけになっている子もいました。どちらもワンダースクールの子どもたちです… 角がある長老格の羊さんは息切れしてへたり込んじゃって、かわいそうだったなぁ…

 

「バイキングだ」
 毎回評判がいい里山ランチですが、今回も「汁に入ってたみどりのやさい、おいしかった」、「野菜スープがおいしかった。3ばいおかわりした」、「たべたものぜんぶおいしかった」と、「ごはん」のことを書いてくれた子が6人もいましたね。そんじょそこらの野菜じゃないことがわかるなんて、なかなか違いのわかる子どもたちです。

 

 午後は、昨年大好評だったチキンレース。今年は田んぼで活躍してくれたアイガモたちも加わりました。
 「チキンレースが楽しかった」「にわとりをつかまえるのがたのしかった」と書いてくれた子は13人で、「かも」派も3人。やはり今年も子どもたちはお騒ぎでしたが、鳥さんたちもご苦労様でした…

 普段はできない体験を親子で楽しんでもらえたようでなによりですが、皆農塾代表の恵子さんがよく言われているように、羊もニワトリもアイガモも本来は触れあって遊ぶための「ペット」ではありません。農家の方たちにとっては生活の糧にもなっている大切な家畜です。
 家畜といえば、人類学者の河合雅雄さんが「イノシシ的要素をむしりとられ、飼育ブタへの方向を歩まされている」子どもたちの「家畜化現象」を指摘したのは、すでに20年近く前(『子どもと自然』1990年 岩波書店)。最近なにかと物騒な世の中になって、さらに悪い方向へと向かっていますよね。そんな子どもたちが、家畜と遊ばせてもらうことによって、実に生きいきと本来の野性をよみがえらせていく姿を見ていると、私としては今年もちょっと複雑な心境でしたねぇ…
 最後に、収穫や出荷で忙しいなか、今回も楽しいレースを企画・準備してくれて大切な家畜と遊ばせてくれたり、おいしい里山ランチを作ってくれたりした皆農塾のスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。