『子どもと自然大事典』(2011・ルック)
第2部「子どもとモノ」 第1章「子どもと道具」より
もの集めは、昔から子どもの遊びとしては定番であった。残念ながら現在では、自然の物を自らの手で採ったり拾ったりして集めるのではなく、また生活の場にあるものを友達や地域の人たちとコミュニケーションをとりながら集めるのでもなく、カードやゲームソフトをお金で買いあつめることが主流となっている。
昆虫採集や標本づくりもある意味でもの集め遊びの一つであった。だが現在ではやはり、夏のカブトムシやクワガタムシでさえも、捕まえられそうな場所を探したり早起きしたりして自ら手に入れることはなく、お金で買うもの、買い与えられるものとなってしまった。もの集めも子どもの能力や努力ではなく、親の経済力次第というわけである。こうなるともう子どもの遊びとは言えないのではないだろうか。
しかし、自然の中へ出かける機会さえあれば、子どもは木の枝や木の実、葉っぱなどいろいろと拾いあつめるものである。ちょっとした工夫次第では、今の子どもたちにとっても楽しいもの集め遊びとなるだろう。以下は、私が秋に子どもたちと楽しんでいる木の実や草の実のもの集め遊びである。
用意するものは一〇〇円ショップで手に入るパーツケースやアクセサリーケースで、できれば三×三の九つ以上に分割されているものがいい。簡単に言ってしまえば、見つけて紙に丸をつけるだけではつまらないので、実際に木の実や草の実をあつめてビンゴゲームを楽しもうというものである。
植物の種類が多いフィールドであれば、私は「くっつきむしの草の実ビンゴ」や「空とぶ魔法の種さがし」というような形であつめてもらう。種類が少なければ、植物の「種さがしビンゴ」にしたり、自然の落しものであれば何でもOKにしたりして遊ぶこともできる。もちろん、どのような形でも植物や自然の学びへつなげることもできるだろう。
「くっつきむしの草の実ビンゴ」の場合は、A四やB五サイズのフォトフレームにチェック柄のマフラーをはめこんだものを使用するので、そのまま立てたり壁に飾ったりすればしゃれたインテリアになる。ケースにあつめたものはそのままにしておくとカビたり腐ったりするので、どんぐりなら雑巾でふいてマツボックリのようなものなら絵筆や歯ブラシを使って汚れを落として、よく乾燥させてから入れ直せばよい。いずれも種類を調べてラベルをつければ、標本としても保存できるし、似ている点や異なっている点も改めて知ることになるだろう。
遊びとして考えた場合には、種類別に分けなくても、たとえば旅先で拾いあつめたものをまとめて透明なビンやケースに入れて飾っておくだけでもいいのではないだろうか。
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